社会貢献活動を行う組織としてNPO法人とNGO法人をよく聞きますが、
これら二つの組織形態の違いについてわかりにくいですよね。
この記事では、特定非営利活動法人(NPO法人)と非政府組織(NGO法人)という二つの重要な組織形態の基本的な概念、目的、設立方法、組織構造の違い、そしてそれぞれの管轄について詳しく解説します。
これにより、NPO法人とNGO法人がどのように異なり、どのように社会に影響を与えているかの理解を深めることができます。
Contents
NPO法人とNGO法人の違い
NPO法人(特定非営利活動法人)とは
目的: 地域社会や公共の利益に貢献すること。例えば、社会福祉、環境保護、文化活動など。
法的枠組み: 日本の特定非営利活動促進法(NPO法)に基づいて設立。
利益の扱い: 得られた利益はすべて団体の活動に再投資。利益の分配は目的としない。
活動範囲: 主に国内、地域に焦点を当てた活動が多い。
NGO法人(非政府組織)とは
目的: 社会的、政治的問題に対処し、特定の原因や問題に取り組むこと。例えば、人権、国際開発、環境問題など。
法的枠組み: 日本には「NGO法人」という特定の法的枠組みはない。NPO法人、一般社団法人、財団法人など様々な形態で存在。
利益の扱い: NGOも利益を目的としないが、国際的な資金調達や活動が特徴。
活動範囲: 国際的な問題に焦点を当て、国境を越えた活動を行うことが多い。
一方、NGO法人は国内外の社会的・政治的問題に取り組む国際的な非営利団体と考えることができます。
それぞれの法的な枠組み、活動の焦点、および活動範囲において違いがあります。
NPO法人とNGO法人の目的、設立方法、組織構造の違い
NPO法人とNGO法人は、目的、設立方法、組織構造などにおいて異なる特徴を持っています。
それぞれを詳しく説明します。
NPO法人(特定非営利活動法人)
設立目的
・公益性が高い活動を行うことを目的としています。
・社会福祉、環境保護、地域コミュニティの活性化、文化・芸術の振興、教育・学術の発展など、多岐にわたる分野で活動します。
・利益を追求することは目的ではなく、得られた利益はすべて団体の活動に再投資されます。
設立方法
・特定非営利活動促進法(NPO法)に基づいて設立されます。
・3人以上の設立者が必要で、設立のための定款の作成や、メンバーの募集などの手続きが必要です。
・設立後、法務局に申請し、特定非営利活動法人としての認定を受けます。
組織構造
・理事会や会員総会などの組織があり、運営はこれらの組織によって行われます。
・組織運営は透明性が求められ、活動報告や会計報告が義務付けられています。
NGO法人(非政府組織)
設立目的
・NGOは「Non-Governmental Organization」の略で、その名の通り政府に属さない独立した組織です。
・主に社会的、政治的な問題に対処し、人権、環境保護、健康、教育などの分野で活動します。
・国際的な問題に取り組むことが多く、国内外での影響力を持つことがあります。
設立方法
・日本にはNGOを特定する法的枠組みは存在しません。
・NPO法人、一般社団法人、財団法人など、様々な形態で設立されることがあります。
・設立方法は選択した法人形態によって異なります。
組織構造
・組織構造は活動内容や規模に応じて大きく異なることがあります。
・国際活動を行う場合、国際的なネットワークを持つことがあり、その構造は複雑になることがあります。
・透明性やアカウンタビリティ(説明責任)はNGOにとっても重要な要素です。
一方で、NGO法人は政府に属さない独立した組織として、より広範な社会的・政治的問題に取り組むことが多く、その設立形態や組織構造は多様です。
NPO法人とNGO法人の管轄は?
NPO法人とNGO法人の管轄について説明します。
NPO法人(非営利団体)
日本におけるNPO法人は、主に「特定非営利活動促進法(NPO法)」に基づいて設立されます。
これらの団体の設立・運営に関する主な管轄機関は次の通りです:
法務省
NPO法人の設立には、法務局への申請が必要です。
法務局は、申請された団体がNPO法に基づく基準を満たしているかを審査し、これを承認します。
地方公共団体
NPO法人は、活動地域に基づいて、その地域の市町村や都道府県の支援や監督の下で活動することがあります。
また、地方公共団体は、NPO法人に対して助成金を提供したり、協力事業を行ったりすることもあります。
NGO法人(非政府組織)
NGO法人に関しては、日本には「NGO法人」という法的な定義は存在しません。
NGOは、その活動内容や目的によって、NPO法人として設立されることもあれば、一般社団法人や財団法人など、他の法人格を取得することもあります。
したがって、NGOの管轄はその法人形態に依存します。
例えば、
NPO法人として設立されたNGOの場合は、上記のNPO法人の説明が当てはまります。
一般社団法人や財団法人として設立された場合は、商業登記を行う必要があり、これは法務局が管轄します。
NGOの活動は国内に限らず国際的な活動を行うことも多く、その場合、外務省や国際協力機構(JICA)などの政府機関との連携も見られます。
しかし、これらの機関が直接的な管轄権を持つわけではありません。